Claude CodeにCodexを「部下」として使わせてみた——AIの連携は、結局マネジメントだった

技術ネタ

こんにちは、ノンズ株式会社 代表の野々下です。

ChatGPT、Claude、Gemini……AIツールが増えるほど、「結局どれを使えばいいのか」というご相談をいただくことが増えました。先日、この問いへの見方が変わる体験をしたので共有します。AIを「選ぶ」のではなく、AI同士を「組ませて」みたのです。

結論: 必要だったのは技術ではなく「任せ方」だった

やったことはシンプルです。私が普段使っているAI(AnthropicのClaude Code)に、別会社のAI(OpenAIのCodex)を部下として付け、仕事を振らせてみました。きっかけは、セットアップ手順をまとめたQiitaの記事(Claude CodeからCodexを連携させるセットアップガイド・@mix_dvd さん)です。

セットアップから検証まで半日。分かったのは、AI同士の連携をうまく回すのに必要なのは高度な技術ではなく、人間の部下に仕事を任せるときとまったく同じマネジメントだということでした。

やってみた①: セットアップ15分、最初の成果物は2分で届いた

導入は記事の手順どおりで、約15分。すでにChatGPTを契約していれば追加の申し込みは不要でした。 (実際のコマンドやハマりどころは 技術編 に分けてまとめています。エンジニアの方はそちらをどうぞ)

最初の仕事として、ブログ用のイラストを1枚頼んでみたところ、約2分で仕上がってきました。白背景に、挨拶する小さなロボット。指示した内容にきちんと沿っていて、そのまま記事の挿絵に使えるレベルです(この記事の画像がまさにそれです)。

やってみた②: 自社ツールをレビューさせたら、「作った本人」の見落としを見つけてきた

次は少し実務寄りの仕事です。当社の社内ツール(契約台帳に記録を追記する小さなプログラム。Claudeが実装したもの)を、Codexにレビューさせました。

約4分で指摘が10件。精査したところ8件は正当な指摘で、中でも「同時に2件の登録が走ると、管理番号が重複する可能性がある」という、実装した本人(Claude)が見落としていた穴を突いてきました。

同じAIに自分の書いたものを見直させるより、別系統のAIに検収させたほうが盲点を突ける。人間の組織で、作った本人ではなく別の担当者がダブルチェックするのと同じ理屈が、AI同士でも成り立ちました。

やってみた③: 失敗談——指示の渡し方ひとつで、黙って止まる

いいことばかりではありません。最初のレビュー依頼は、30分待っても返ってきませんでした。

原因はCodexの能力ではなく、こちらの指示の渡し方(技術的には、入力チャネルを閉じ忘れて「まだ指示が続く」と待たせていた)。その間、Codexは「ここが分かりません」とは言ってくれず、黙って待ち続けていました。

——新しく入った部下に仕事を渡したつもりが、実は伝わっておらず、報告がないまま時間だけが過ぎる。あの状況とそっくりです。「自分でAIを試したけれど、思ったように動かなかった」という声を経営者仲間からよく聞きますが、原因の多くはAIの性能ではなく、この「任せ方」の側にあります。

学び: 任せる・検収する・得意を見極める

半日の実験で得た学びは、上司の仕事の3点セットそのものでした。

  1. 任せ方を設計する。 背景・やってほしいこと・完了条件をひとまとめにして渡す。丸投げすると黙って止まる

実際に使っている依頼テンプレートがこれです。人間の部下に仕事を頼むときの指示書と、ほとんど同じ形をしています。

## 背景
(なぜこの作業が必要か・前提となる状況)

## やってほしいこと
(具体的な作業内容。仕様が決まっているなら仕様書のパスを渡す)

## 完了条件
- テストが通ること
- 〇〇が画面に表示されること
- 禁止事項:削除・公開・本番反映はしない

## 報告してほしいこと
(変更したファイル・検証結果・判断に迷った点)

「完了条件」と「禁止事項」を書いておくかどうかで、戻ってくる成果物の質が変わります。とくに禁止事項は、AIが良かれと思って余計なことをするのを止めるブレーキになります。

  1. 検収は上司の仕事。 例えば画像なら、記事の挿絵はCodexで十分。一方、会社の顔になるマスコットは「社員証を持たせる」といった意図の込もったデザインが必要で、これは任せきりでは出てきません。成果物の合否判定は人間(または監督役のAI)が握る
  2. 得意分野をログで見極める。 当社では試した仕事を採点表(◎○△✕)で記録し始めました。「画像の量産は◎、ブランドデザインは△」が積み上がると、次から迷わず振れます

記録といっても、ファイル1枚に追記していくだけです。

# 委任トライアルログ

## 評価基準
◎=常用したい ○=条件付きで使える
△=自社でやった方が良い ✕=不向き

## 2026-07-30
- 画像生成(記事の挿絵1枚)|約2分|○
  汎用的な絵は十分。ブランドを背負う絵は不可
- コードレビュー(自社ツール159行)|約4分|◎
  10件中8件が正当な指摘。作った本人の見落としを検出
- コード実装(仕様書ありの改修)|約11分|◎
  仕様が固まっていれば品質は高い

3〜4行たまるだけで、「次はこれを振ろう」の判断が一気に速くなります。個人の勘ではなく会社の資産になるのが、ログにする一番の理由です。

「ツールを増やすと混乱するのでは?」

逆でした。混乱するのは役割分担を決めずにツールだけ増やした場合です。「実装はA、検収はB」と役割を固定したら、むしろ1つのAIに全部やらせるより品質が安定しました。人を増やすときに組織図を書くのと同じことを、AIにもやるだけです。

まとめ

  • AI活用の次の段階は、ツールを「選ぶ」ことではなく「組ませる」こと
  • 連携の質は、指示の渡し方 → 検収 → 得意分野の見極め、というマネジメントで決まる
  • 「動かなかった」の原因は、AIの性能より任せ方にあることが多い
  • どのAIが何を得意かの採点ログは、会社の資産になる

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