AIの書く曜日は、約2割ずれていた——264件を全数調査して分かった「注意して」では直らないミスの話

技術ネタ

こんにちは、ノンズ株式会社 代表の野々下です。

当社ではAIが毎日、社内文書や予定表、お客様向けの文面の下書きを書いています。その運用の中で、経営者仲間からいちばんよく聞かれるのがこの質問です。

「AIの答えって、どこまで信じていいの?」

先日、この質問に自社で答えを出す出来事があったので、失敗も含めてそのまま書きます。

結論: うちのAIは、日付の曜日を約2割間違えていた

きっかけは私の一言でした。AIが書いた文書を見ていて「毎回、日付と曜日がずれるね」と指摘したのです。

そこでAI自身に、社内文書にある「日付+曜日」の表記をすべて数えさせました。結果は264件中50件、約2割がずれていました(2026年8月・社内全文書の実測)。「8/22(金)」と書いてあるのに、カレンダーを見ると8月22日は土曜日——そういう誤りが、あちこちに埋まっていたのです。

そして重要なのはここからです。この誤りは「注意して」という指示では直りませんでした。 直ったのは、仕組みを入れたときです。

実体験: 間違いは「増殖」していた

調査して分かったことが2つあります。

1つ目。AIは曜日を計算していません。文脈から「それらしい曜日」を書いています。人間なら手帳を見ますが、AIは見ずに書く。だから2割も外れる。

2つ目のほうが怖い話で、一度ファイルに入った誤りが、コピーで増殖していました。ある決裁文書に書かれた「8/22(金)」という誤記が、TODOリスト、計画書、送信用の文面へと5箇所以上に転記され、最後にはAIが私への報告にまでその曜日を使っていました。AIは既存の文書を「正しい前提」で参照するので、誤りほどよく増えるのです。

実害の一歩手前もありました。社内の面談予定が「水曜」と書かれていたのに、実際のその日は木曜。うっかり1日勘違いするところでした。相手のある予定でこれをやれば、信用に関わります。

失敗談: 「気をつけて」は、うちでも効かなかった

最初にやったのは、AIへの指示文に「日付と曜日は正確に書くこと」と足すことでした。効きませんでした。

考えてみれば当たり前で、これは新入社員に「ミスするな」とだけ言って対策を任せるのと同じです。注意で直るなら、世の中にダブルチェックという仕組みは存在しません。

学び: 直し方は、会社の管理とまったく同じだった

やったことは3つです。AIの話というより、経営者には馴染みのある手順だと思います。

  1. 感覚で怒らず、全数を数える。 「ずれてる気がする」を「264件中50件」という事実にする。ここで初めて、対策に値する問題だと分かります
  2. 過去の誤りは、基準を決めて一括で直す。 当社は「日付を正、曜日を従」と決めて50件を一度に修正しました。基準を決めないと「日付と曜日のどちらが本当の予定か」が分からなくなります
  3. 再発は、人(AI)ではなく仕組みで防ぐ。 当社では①AIが文書を書いた瞬間に、暦と照合して間違いをAI自身に差し戻す自動チェック、②毎朝の全文書一斉点検、③メールやチャットを社外に送る直前の自動ブロック、の三段を入れました。導入した日から、AIが曜日を間違えると送信自体が止まり、その場で直してから出てくるようになりました

余談ですが、この記事の下書きを書いたとき、誤りの実例として載せた「8/22(金)」に自動チェックが反応し、この記事自体がAIに差し戻されました。仕組みというのは、こういうときも黙って働いてくれます。

よくある誤解: 「AIは信用できない」も「AIだから正確」も、どちらも間違い

この話をすると「やっぱりAIは信用できない」という反応と、「AIは機械だから日付くらい正確でしょう」という反応の両方をいただきます。どちらも実態と違います。

新入社員がミスをするからといって、採用をやめる会社はありません。報告に上司の確認を挟み、金額にはダブルチェックを付けて、戦力にします。AIも同じです。問題は「AIが間違えること」ではなく、「間違いを捕まえる仕組みがないままAIの出力を使うこと」。逆に仕組みさえあれば、間違いは出た瞬間に捕まるので、安心して仕事を任せられます。

まとめ

  • AIは曜日を計算せず「それらしく」書く。当社の実測では約2割(264件中50件)がずれていた
  • 誤りはコピーで増殖する。放置すると、AIが誤りを「正しい前提」として使い始める
  • 「注意して」という指示では直らない。①全数を数える ②基準を決めて一括修正 ③書いた瞬間・送信直前の自動チェック、の仕組みで直す

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