中小企業のAI導入、何から始める?——社員60名のIT企業が自社で試して分かった最初の一歩

技術ネタ

こんにちは、ノンズ株式会社 代表の野々下です。

当社はエンジニア約60名のIT企業ですが、この1年で「自社の業務にAIを入れる」ことを本気でやってきました。その経験から、経営者仲間によく聞かれる質問に答えます。

「AIって、結局何から始めればいいの?」

結論: ツール選びからではなく、「毎日の30分」の棚卸しから

多くの会社が最初につまずくのは、「ChatGPTとClaudeどっちがいいのか」「どのAIツールを契約すべきか」というツール選びから入ってしまうことです。

順番が逆です。先にやるべきは、社内で毎日発生している「30分以上の繰り返し作業」を書き出すこと。ツールはその後で決まります。

なぜ「毎日30分」なのか。試算してみると分かります。毎日30分の作業は、月に約10時間。担当者が3人いれば月30時間です。この規模の作業がAI化の第一候補になる理由は2つあります。

  1. 効果が計算できる——毎日発生する作業は削減効果がブレない。「たまにある大変な仕事」より、地味な毎日の作業のほうが投資判断がしやすい
  2. AIが得意な形をしている——毎日繰り返す作業は型が決まっている。型が決まっている仕事は、AIに教えやすい

当社が最初にAI化したのは「日報」だった

実例を挙げます。当社で最初にAI化したのは、派手な何かではなく営業の日報作成でした。

  • Before: 営業3名が、毎日30分ずつかけて日報を作成
  • After: Slackに常駐させたAIに、その日あったことを話すだけ。AIが日報の形に整えて記録

削減された時間を人件費に換算すると、月11万円分という試算になりました(当社の給与水準に基づく社内試算です)。

ポイントは、高度なシステムを開発したわけではないことです。やったのは「日報係の新入社員を一人、Slackに配属した」ようなことだけ。それでも、毎日発生する作業だったからこそ、効果が積み上がりました。

始め方の3ステップ

当社が自社とクライアント企業で実際に使っている手順です。

ステップ1: 「毎日リスト」を作る(30分でできる) 部署ごとに「毎日やっている、30分以上かかる作業」を書き出します。日報・報告書の作成、問い合わせへの定型回答、データの転記・集計、議事録……。この時点でツールの話は一切しません。

ステップ2: 「型が決まっているか」で並べ替える リストの中から「毎回ほぼ同じ手順・同じ形式」の作業を上位に持ってきます。判断が毎回変わる仕事(たとえば値付けや採用の合否)は後回し。型が決まった作業が、AIの最初の配属先です。

ステップ3: 1つだけ選んで、1ヶ月試す 一番上の1つだけをAI化して、1ヶ月運用してみます。ここで大事なのは、最初から完璧を求めないこと。新入社員が初日から完璧に働けないのと同じで、AIも使いながら教えていくものです。逆に言えば、1ヶ月「育てて」みて手応えがあれば、2つ目・3つ目と横に広げるだけです。

よくある誤解: 「うちにはAIに詳しい人がいないから無理」

これもよく聞きます(実際、当社が行った調査でも「AI人材がいない」は経営者の悩みの上位でした)。

ただ、上の3ステップを見返してほしいのですが、ステップ1と2に必要なのはAIの知識ではなく、自社の業務の知識です。つまり、いちばん重要な工程は社内の皆さんにしかできません。AIの技術的な部分は、外部の力を借りればいい——当社のような支援会社でも、社内のITに強い若手でも構いません。

まとめ

  • ツール選びからではなく、「毎日30分以上の繰り返し作業」の棚卸しから始める
  • 型が決まった作業を1つだけ選び、1ヶ月「育てる」つもりで試す
  • 業務の棚卸しは社内にしかできない。AIの技術は外部を頼っていい

AI導入、何から始めるか迷っていませんか?

ノンズ株式会社では、中小企業向けのAI導入支援を行っています。「自社の場合、どの業務から始めるべきか」を30分の無料オンライン相談でお話しできますので、お気軽にどうぞ。

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